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★読切!(ショートショート・短編) 高校生の恋愛・大人の恋愛・ ファンタジー等

読切!明けない夜はない~秘密のプチ家出(中学生の恋愛・ピュア)

 ←デス・フィアンセ~死神の婚約者 第17話 →八少女夕様の「scriviamo!」に参加しました。
「そういえば、日の出って見たことない」

 2月の初め、柚奈が唐突に言ったのが始まりだった。柚奈と智也は学校の帰り道にいつもの土手に寝そべっていた。今日はまた一段と綺麗な夕焼けだ。

「俺は家族で年末年始に旅行に行って旅先で初日の出見るけど。お前のとこは見ないの?」

 智也が訊ねた。

「えー? お正月なんて大晦日に夜中まで起きてるからそんな早起きしたことない」

 柚奈も智也もまだ中1だ。席が隣同士だったのをきっかけに仲良くなり、いつの間にか付き合うような関係になったものの、一緒に夜を明かすなんて親が許すはずがない。

「……なあ、一緒に見ようよ。日の出。初日の出じゃなくてもさ」
「え?」
「こんなに綺麗な夕焼けだから、明日の日の出もきっと綺麗だよ。ちょうど明日は土曜日で学校休みだし」
「でも、どうやって?」
「明日こっそり家を抜け出してこいよ」

 智也の提案に柚奈は大きく首を振った。

「無理!無理無理! 玄関のドアの音とか鍵の音でバレるし!」
「じゃあ、窓から出てきたらいいじゃん」
「私の部屋、2階だよ!?」
「お前の部屋の下、1階に屋根があるじゃん。そこから、手すり使えば楽勝だよ」

 1階に屋根……そういえばあったかもしれない。柚奈自身はっきりと覚えてなかった。

「すごい。うちに遊びに来たことって数回なのによく覚えてるね」
「どうやって柚奈の部屋に忍び込もうか考えてたもん」
「え!?」

 智也の衝撃発言に柚奈は驚いた。

「もちろん勝手に入らないよ。でも、柚奈が呼んでくれたら、真夜中でも2時でも3時でも飛んで行く」
「智也……」

 自分の顔が赤いのは夕焼けのせいだ。柚奈は智也から顔をそらし、夕焼けを眺めた。

「……行く」
「あ?」
「智也と明日日の出見に行く!」

 智也がスマホで今の時期の日の出の時間を調べてくれた。6時50分頃らしい。

「じゃあ、6時に柚奈の家の前で待ってるから!」
「智也はそんなに朝早くからに家出られるの?」
「うちは放任主義だから。柚奈に門限がなかったらずっと一緒にいられるのに」

 そう言って智也は柚奈の肩を抱き寄せた。柚奈はそれだけでドキドキするのを感じた。


「ただいま」

 おかえりなさい、という母の声は台所から聞こえた。柚奈は今の内に、普段は靴箱にしまうスニーカーを持ってこっそりと2階の自室に上がった。
 目覚まし用の携帯アラームはバイブモードにしてベッドのサイドテーブルに置いた。これでも十分目が覚めるはずだ。着る服も用意する。動きやすくするため、ジャケットの他はトレーナーとジーンズだ。
 夕食はわざと少し残した。

「私、今日はちょっと気分が悪いからもう寝るね。朝も起きられないかもしれないけど、私が起きてくるまで起こさないで寝かせておいてね」
「あらまあ、大丈夫?」

 母親を心配させるのは申し訳なかったが、明日までのことだ。日の出を見たら、すぐに帰る予定だ。

「うん。熱はないみたいだから、よく寝たら治ると思う。おやすみなさい」


 翌朝、バイブの音で柚奈は目が覚めた。慌ててバイブを止めて静かに顔を洗って着替える。

「本当に降りられるかな……」

 窓の外から下を眺める。息が白い。真っ暗で心配だったが、案外たやすく窓から降りることができた。登るのも簡単そうだ。
 家の外では智也がすでに来て待っていてくれていた。

「おはよ。真っ暗だね」
「そりゃ日の出前だから当たり前じゃん」

 お互い白い息を吐きながら、他愛ない話をして手を繋いで歩き出す。こんな暗闇を智也と歩いたことはない。イケナイことをしているようでドキドキするが、そのドキドキ感が心地いい。
 いつもの土手に並んで寝そべった。と思った瞬間、智也が柚奈を組み敷き、キスをした。

「や……」
「柚奈はいや? 俺はずっとこうしたかった。もっともっと柚奈に近づきたかった」

 真上の智也の顔は真剣だった。

「いや……じゃないよ……」

 心臓が張り裂けそうになるほどドキドキと胸打つのを感じながら柚奈がそう答えると、智也の熱い唇が再び柚奈の唇を塞いだ。

「あ……っ」

 外気は寒いはずなのに、柚奈は少しずつ深くなっていくキスに身体が熱くなってきたのを感じた。

「急にごめん。日の出までこのまま抱きしめさせて欲しい」
「うん……」

 柚奈も智也の首に腕を回した。再びキスをする。

「あとどれくらいだろ」

 智也が体を立て直し、腕時計を見た。柚奈の胸のドキドキはまだ消えていない。

「あれ、7時過ぎてる。そろそろ見えてきてもいいんだけどな。建物があるからもうちょっと後かな。なんとなく明るくなってる気もするし……」

 智也が体育座りで座ったので、柚奈もそれにならい、座って智也の肩にもたれた。

「あっ!」

 智也が突然大声を出した。

「どうしたの? 何?」
「ここ、いつも俺たちが夕焼けを見ている場所じゃん」
「え? それが何?」
「太陽は東から出て西に沈むだろうが!」
「あ……」

 反対側の空を見てみた。こちらは建物が多く立ち並ぶので太陽は見えないが、さらに明るくなってきているのは分かった。

「ごめん……。俺が馬鹿だった……」
「ううん。私も気付かなかったし。いつもここで夕日見てるから、太陽っていうとここのイメージがあって。それにこんな時間に智也と一緒にいることができて嬉しかったよ」

 智也がそっと柚奈に唇を重ねた。唇を重ねるだけのキスがなんだか楽しく、柚奈も自分の唇を智也に軽く重ね返した。

「次はちゃんと東側で日の出見えそうなところ探そうぜ。今日は見られなかったけど、明けない夜はないんだから」




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作者より
これは実は昨年の8月に「早朝の密会」というタイトルで発表したものを
少しだけ書き直したものです。
こちらも気に入っていただけると嬉しいです。
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~ Comment ~

NoTitle

こんばんは。

ピュアな中学生の恋愛ですね。
初々しいなあ。

小さな秘密、初めてのキス、それに小さなうっかりの後で次の約束。

こういうまっすぐな作品はほとんど書いたことがなかったので新鮮です。

小さなドキドキをありがとうございました。

八少女 夕様

こんにちは。
早速お読みいただいてありがとうございます。
連載はファンタジー作品が多いのですが、
短編では中学生・高校生を主人公とした日常の物語をよく書きまどす。
ドキドキしてくださって嬉しいです。ありがとうございました!

こんばんは。

夕さんのところの企画の関係でお邪魔しています。
どうぞよろしくお願いします。

読み始めていきなりキュンとなりました。若干恥ずかしいくらいの感情の揺れが起こってしまいますが、これ、素敵な作品ですね。
智也のアプローチは、智也の性格の良さもあるのでしょう、とても素直で、それを受ける立場にある柚奈の行動をとても上手に引き出しています。
幼馴染ということもあるのでしょうけど、小さいころからずっと一緒だったことって、必ずしも恋愛感情にはいい影響を与るとは限りませんからね。
積極的に思いを口に出せる智也、戸惑いながらもそれを受け入れる柚奈、まだまだ経験不足な2人だからこそ醸し出せるピュアな雰囲気ですね。ここもよかったです。
なかなかこうはいかないよ、などという野暮な突っ込みができないほど、2人はお似合いのカップルです。
柚奈がちょっと緊張しながら外出の準備をするシーン。ちょっとたどたどしいキスシーン。柚奈の拒否ではない態度。智也の思いやり。西を向いて日の出を待つちょっとおまぬけなオチ。どれも胸の奥に痺れのような物を感じながら読むことができました。
こういう純粋な、そして純心なストーリー、サキは大好きです。

山西 サキ様

こんばんは。
お読みいただき、また、コメントまで頂きましてありがとうございました。
とても深く、繊細に読み取ってくださったことがコメントからとてもよく伝わってきて、作者としてはこれ以上ないほど嬉しいです!
とても丁寧なコメントをどうもありがとうございました。
また、ピュアな作品を書きたい気分になってきました。
創作意欲を湧かせてくださってありがとうございます。また何か書いてみます♪

ご訪問ありがとうございました!

はじめまして、こんにちは(^0^*)ノ

はじめまして、こんにちは(^0^*)ノ
八少女 夕さんのイベントに参加させて頂いてる者です(^^*)

単純に、この・・・好きな人と居たい、触れたい
そして、声を聞いただけで肌に触れただけで
体がしびれて力が抜けるような・・・・・
そんな、まだ恋に恋していたような頃を思い出しました。
好きな相手が、自分のことも大好きで居てくれるって
本当に素敵なことですよね(^^*)
幸い、旦那とはずっと相思相愛なので(のろけちゃった^^;)
今では当たり前なんだけど
(すみません、でもって当方結構なおばさんです(笑))
きゅんきゅんしちゃいました(^v^*)v-238

ときめきを思い出させてくれて
どうもありがとうございましたm(^∀^*)m

かじべた様

こんにちは。初めまして。
とても嬉しいコメントをありがとうございますヾ(*´∀`*)ノ

ご主人とずっと相思相愛って素敵ですね(*´∀`*)
そんな中、以前のときめきを思い出してくださって嬉しいです。

とても暖かいコメント、ありがとうございました。

きゅんきゅんしますね♪

少しずつしか、お話を読めなくて、すいません。
でも、読みながら、よく、きゅんきゅんさせて頂いています。
このお話は相当、きゅんきゅんしました。
とても素敵なお話で凄く好きです。
それではまた、お邪魔させて頂きますね。

愛理様

こんにちは。
こちらこそ、「伝説を超えるとき」を読みかけて、気づくと第1章完結になっていて、あわあわとしています。
すみません、体調の良い時にまとめて読みますね。
きゅんきゅんしてくださって、凄く好きとおっしゃっていただけて嬉しいです!
また、いつでもお時間のあるときに遊びに来てくださいね。

初めまして

初めまして
rainshotと申します。
偶然の迷い込みでしたが、なんだかほんわかしたので、感想をと失礼致しました。

このお話は、なんだか登場人物の背景をとても意識させられるお話でした。
年齢と行動のバランスが、誠実さとか一生懸命さとか、でもやっぱり中学一年生だなぁとか。
今後も色々あるんだろうけど、この二人には仲良く行ってもらいたいなぁと素直に思いました。
あと、とある名作映画を知った上で、朝日を見る場所へ行くために、自転車の二人乗りをしたら面白いなぁとか・・・。

では、またどこかで。

rainshot 様

初めまして。
温かなコメントをいただきましてありがとうございました。
お礼の返信が遅くなり誠に申し訳ありません。

このままこのふたりには仲良く行ってもらいたいと思っていただけて
とても嬉しいです。
「名作映画」私は寡聞にして存じ上げないのですが、いつか今度はちゃんと朝日の見える場所に行って欲しいですね。

コメント、ありがとうございました!
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