★読切!(ショートショート・短編) 高校生の恋愛・大人の恋愛・ ファンタジー等

読切!臆病男子と嘘つき女子(恋愛・ピュア)

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「深澤さつきさん! 入学式の時から好きでした。付き合ってください!」
「…………へ?」


「なんか隣のクラスの相沢くんっていう子に告白されちゃったんだけど……」

 いつもどおり幼馴染の藤野太一郎と一緒の帰り道、さつきが呟いた。

「へー。相沢って昨年同じクラスだったけど、大人しいけどいい奴だよ。付き合うの?」
「えー気になる?」

 さつきが軽く冗談めかして訊くと

「気になるっていうか、付き合うなら俺がさつきの周りにいてたら相沢に悪いだろ」
「そっか」

 さつきは落胆の気持ちを押し殺した。そうすることには慣れている。さらにそれを悟られないように軽く言葉を続ける。

「太一郎はさ、私が相沢くんと付き合ったほうがいいと思う?」
「そんなのお前の気持ち次第だろ? なんで俺にいちいち聞くの。俺関係ないし」

 何気ないひとつひとつの言葉が矢のようにさつきの胸に突き刺さる。

「そうだよね。太一郎には関係ないよね。ごめんね」
「謝らなくてもいいけどさ」
「……。そっか。私が謝るのも変だよね。太一郎がにぶすぎなんだから!」

 さつきはそう言って助走をつけて駆け出し、転がっていた石を思い切り蹴飛ばした。

「何やってんだよ」

 追いかけて走ってきたらしく、少し息を切らした太一郎の声が後ろから聞こえたが、さつきは振り返らなかった。振り返ったら涙がこぼれそうだと思った。
 その時、不意にさつきは後ろから抱きしめられた。

「なんだよ。俺に相沢とは付き合うなと言ってほしかったわけでもないだろ」
「べ、別に私はそんなこと……」
「それに言いたくても俺に言える権利なんてないんだよ。俺はお前の彼氏でもなんでもない。お前に告白できる相沢の方がよっぽど俺よりしっかりしてる。俺は告白なんかして今の関係を台無しにしたくない臆病者なんだ。そんな臆病者より相澤と一緒にいるほうがいい……」

 そう言って太一郎は抱きしめていた腕を離した。さつきがゆっくり振り返った時には、もう太一郎はその場にいなかった。


 翌朝、さつきは相澤に付き合えない旨を伝えた。

「あー。やっぱりな。深澤さん、藤野太一郎のこと好きだもんね」

 相澤が苦笑いをする。

「いや! あの! 私と太一郎はただの幼馴染で好きとかそういうんじゃなくて!」
「嘘つきだね、深澤さん。まあ、深澤さんと藤野が付き合う素振りを見せないからその隙に告白してみたんだけど。やっぱダメだったか。深澤さんはもちろん魅力的だけど、藤野も案外モテるからいつまでも自分に嘘ついてないで、付き合っちゃえよ。でないとまた俺が深澤さんのこと奪いに行くよ?」


「……太一郎」

 昨日と同じ帰り道。昨日の太一郎は別人だったんじゃないかというほどいつもと変わりがない。昨日のは夢だったんじゃないか。さつきの心が不安に染まる。

「何?」
「私、嘘つきやめようと思って」
「は?」

 さつきは歩みを止め、必然的に並んで歩いていた太一郎も足を止めた。

「私、太一郎が好き。ずっと好きだった」

 初めて言った言葉。ちゃんと太一郎の目を見て言えた。

「さつき……」
「だから、太一郎も臆病になるのはもうやめて。私が太一郎の気持ち受け止めるから!」

 太一郎からの返事はなかった。ただ強く抱きしめられた。太一郎の心臓の音がさつきにも感じられた。

「ごめん! 本当は俺が言うべきだったことを全部さつきに言ってもらった。俺ももう臆病者をやめる。これまでの関係に満足していないで、これからの関係を築いていきたい」
「うん……。そうだね。ありがとう」

 今までずっと一緒にいたのに、こんなに心の距離が近づいたのは初めてだとさつきは思った。


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作者より
えー。一応3周年記念読み切りです…。
胸キュンを書きたかったんですが、
あんまり胸キュンではないですかね…。
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~ Comment ~

さつきちゃんて

かわいいけど、大胆ですね。
リードしちゃう方なんだ。(いいなー)
太一郎くん、頭上がらないんじゃー……。

そういえば、ブログランキング……、あのバナーのやつって、Sha-Laさんのはファンタジ-部門なんですね。
恋愛(カテゴリがよくわからないけど)ランキングでも結構ポイントもらえそうですよね。
でも設置とかめんどくさそうだなあ。

TAKU様

コメント返信が遅くなり申し訳ありません。
そうですね、リードするタイプかもしれません。
TAKUさんもリードされたいタイプなんですか?(笑)

ブログランキングはいろいろ迷っていたんですが
(「ファンタジー」と「ライトノベル」の時もありました)
今はこのブログはファンタジーカテゴリ、
恋のエチュードの方は恋愛カテゴリにしています。
今のところ、いい感じかなと思っています。

NoTitle

こんばんは、はじめてコメント失礼致します。
読み切りから読ませて頂こうと思いまして、シンデレラとこちらのお話を読ませていただきました。

帰り道というワードに、夕日に染まった帰り道でさつきさんが逆光になる感じで告白するシーンが脳内に浮かびました(*^^*)

また別の作品を読ませて頂きにお邪魔しますね。
それでは^^ノ

KEY(きぃ)様

早速来てくださってありがとうございます!
コメント返信が遅くなり申し訳ありjません。
シンデレラとこちらの話と2話も読んでくださったんですね。ありがとうございます。
逆光になる感じ、いいですね。
そこまで考えてなかったけど、さすがに絵を描かれる方は
絵や映像までもイメージしてくださるのでしょうか。
作者としては嬉しい限りです。

コメントありがとうございました!
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